介護の現場で、こんな場面に心当たりはありませんか。

後輩のケアに「ちょっと気になるな」と思うことがあっても、嫌われたくなくて、その場の空気を壊したくなくて、つい言えないままになってしまう。リーダーや先輩職員が「自分でやった方が早いから」と業務を抱え込み、気づけば一人だけ残業して、疲れきっている——。

札幌で介護施設を運営される皆さま、教育やチームづくりを任されている皆さまとお話ししていると、本当によくこうした声をお聞きします。今日はその「言えない」「抱え込む」がなぜ起きるのか、そしてチーム全体でどう変えていけるのかを、私たちのコミュニケーション研修の視点からお伝えします。

介護現場のコミュニケーション、こんなお悩みありませんか

  • 後輩やスタッフに指摘したいことがあるのに、「嫌われたくない」「関係が気まずくなる」と思うと言えない
  • 気になることを我慢して溜め込んだ結果、ある日感情的にぶつかってしまう
  • リーダーが「教えるより自分でやった方が早い」と抱え込み、業務負担がその人に集中している
  • 頼れるリーダーほど疲弊して、いつか辞めてしまわないか心配
  • 職員同士、表面上は穏やかだけれど、本音で言い合えていない気がする
  • 多職種・多世代が入り混じり、価値観の違いから小さなすれ違いが積み重なっている

どれか一つでも「あるある」とうなずかれたなら、それはチームの誰かが悪いのではありません。「伝え方」と「聴き方」を、誰も教わってこなかっただけなのです。

介護の「接遇マナー研修」とは、少し違います

介護現場向けの研修というと、笑顔や言葉づかい、利用者さまへの接遇マナーを扱うものを思い浮かべる方が多いかもしれません。もちろんそれも大切です。

ただ、今回お話ししているコミュニケーション研修は、もう少し現場の内側の話です。利用者さまへの対応の前に、まず職員同士が安心して本音を言い合える関係になっているか。後輩に「ここはこうしてほしい」と伝えられるか。リーダーが一人で抱え込まずに「手伝って」と言えるか。

この「スタッフ同士のコミュニケーション」が整っていないまま接遇だけを磨こうとしても、現場はなかなか変わりません。むしろ、職員同士の関係がほぐれると、利用者さまへの関わりも自然とあたたかくなっていきます。土台はいつも「人と人」なのです。

なぜ介護現場で「言えない」「抱え込む」が起きるのか

「嫌われたくなくて言えない」の正体

「嫌われたくなくて言えない」——これは、優しい人、周りをよく見ている人ほど陥りやすいものです。決して気が弱いからではありません。相手を思いやる気持ちが強いからこそ、「これを言ったら傷つけてしまうかも」とブレーキがかかるのです。

けれど、言わないままでいると、気になることは自分の中に溜まっていきます。そしてある日、我慢が限界に達して、思ってもみなかった強い言い方でぶつかってしまう。あるいは、何も言えないまま「あの人とは合わない」と距離を置いてしまう。どちらもチームにとってはつらい結果です。

大切なのは、我慢と衝突の”あいだ”にある、第三の伝え方を知ること。相手を責めずに、でも自分の気持ちや必要なことはきちんと伝える。この技術は、生まれ持った性格ではなく、学んで身につけられるスキルです。

「自分でやった方が早い」がリーダーを追い詰める

「自分でやった方が早い」も同じ構造です。目の前の忙しさを考えれば、たしかに自分でやる方が早い。でもそれを続ける限り、後輩は育たず、リーダーの負担は永遠に減りません。「今の10分」を惜しんだ結果、「これからの何十時間」を失ってしまう——これがプレイングマネージャーの抱える孤独です。

頼れるリーダーほど抱え込み、疲弊し、いつか潰れてしまう。そしてその人が辞めると、また人手不足に逆戻り——介護現場でよく見られるこの悪循環を断つには、「任せる」「頼る」もまた学べる技術だと知ることが第一歩になります。

研修で大切にしていること

私たちのコミュニケーション研修は、講師が一方的に「正しい伝え方」を教える座学ではありません。介護の現場で日々起きているリアルな場面を題材に、参加者同士で語り合い、手を動かしながら学んでいく、参加型のプログラムです。

「傾聴」を出発点にします。 伝える技術の前に、まず相手の話を聴くこと。私自身、医療ソーシャルワーカーとして約11年間、多くの患者さんやご家族の「心の声」に耳を傾けてきました。その経験から、コミュニケーションは「うまく話すこと」より「安心して話してもらえること」から始まると考えています。

現場の言葉で、具体的に扱います。 「後輩のこの行動が気になる、でも言えない」——そんな実際の場面を持ち寄って、ではどう伝えれば相手も自分も傷つかないか、グループで一緒に考えます。抽象的な理論ではなく、明日の現場でそのまま使える形にして持ち帰っていただきます。

「自分ごと」として向き合う時間を作ります。 グループワークを通して、自分自身のコミュニケーションのクセに気づいたり、他の職員さんの工夫を知ったり。一人で研修を”受ける”のではなく、チームで一緒に”考える”ことで、研修が終わった後も現場に変化が残ります。

医療と介護の”あいだ”を見てきたからこそ

私は社会保険労務士であると同時に、社会福祉士、国家資格キャリアコンサルタントの資格を持っています。そして何より、約11年間、医療ソーシャルワーカーとして病院の現場に立ってきました。

医療ソーシャルワーカーの仕事は、患者さんが退院した後の生活を支えるために、介護施設や在宅のサービスへと橋渡しをすること。つまり私は、医療と介護の”あいだ”に立ち、両方の現場の空気を見てきた人間です。介護の現場が抱える板挟みのつらさを、身をもって知っているつもりです。

人の暮らしと人生に、医療・福祉の両面から関わってきた——その積み重ねが、私のコミュニケーション研修の背景にあります。

まずは、お話を聴かせてください

研修の内容は、施設ごとの状況に合わせてお作りします。「リーダーの抱え込みをなんとかしたい」「職員同士がもっと言い合えるチームにしたい」——今感じておられる課題を、まずはじっくりお聞かせください。

企画やお見積りの作成は無料で承っております。オンラインでの実施や、少人数での開催にも対応しています。「研修というほど大げさでなくてもいいのだけれど」という段階のご相談でも、どうぞお気軽にお声がけください。

札幌を拠点に、北海道内から全国まで、皆さまの現場に伺います。チームの「言えない」「抱え込む」を、一緒にほぐしていきましょう。


Office You Key 社会保険労務士事務所 代表 斉藤梨絵(社会保険労務士・社会福祉士・国家資格キャリアコンサルタント)