「背中を見て覚えろ」「これくらいで怒鳴るのは指導のうち」——。

かつて自分がそう育てられ、それで一人前になってきた。だからこそ、同じように後輩を鍛えているつもりが、いつの間にか「ハラスメント」と受け取られてしまう。悪気はまったくない。むしろ「相手のためを思って」やっている。それなのに、部下が萎縮し、離れていく——。

札幌で企業の管理職研修をさせていただくなかで、私がいちばん多く出会うのが、この「無自覚なギャップ」に戸惑うベテラン上司の姿です。今日は、ハラスメントが「悪い人がやるもの」ではなく、「良かれと思ってやってしまうもの」だという視点から、世代間のズレをどう埋めていくかをお話しします。

ハラスメント研修、こんなお悩みありませんか

  • ベテランの上司ほど「自分の指導がハラスメントかもしれない」と気づいていない
  • 「昔は当たり前だった」やり方と、今の基準とのギャップに管理職が戸惑っている
  • 指導とハラスメントの線引きが分からず、若手に何も言えなくなってしまった上司がいる
  • 「怒鳴る」「精神論で押す」など、本人は指導のつもりの言動が問題になっている
  • 若手がすぐ辞めてしまうが、その理由が上司世代に見えていない
  • ハラスメントを「一部の悪質な人の問題」と捉えていて、自分ごとになっていない

どれか一つでも心当たりがあれば、それは誰かが悪いのではありません。時代とともに「当たり前」が変わったことに、気づく機会がなかっただけなのです。

ハラスメントは「悪意」ではなく「無自覚」から生まれる

ハラスメント研修というと、「加害者を反省させるもの」「悪質な人を取り締まるもの」というイメージを持たれることがあります。けれど、私が現場で見てきたハラスメントの多くは、悪意から生まれてはいません。

いちばん多いのは、自分が受けてきた指導を、良かれと思ってそのまま次の世代に手渡してしまうパターンです。「背中を見て覚えろ」と言われて育った人は、それが教育だと信じている。「厳しく叱られて伸びた」と実感している人は、叱ることが相手のためだと思っている。だから、まさか自分の言動が相手を傷つけているとは思いもしないのです。

ここが、ハラスメント問題のいちばん難しいところです。悪意がある人なら「やめてください」で止められる。でも「相手のため」と信じてやっている人には、その自覚がない。責めても響かないし、萎縮させても解決しないのです。

だからこそ、必要なのは「あなたは加害者だ」と指摘することではなく、「時代とともに、伝わり方が変わった」ということを、責めずに一緒に確認する時間なのだと私は考えています。

なぜ「昔は当たり前」が通じなくなったのか

育ってきた時代の”常識”が違う

今、管理職を務めている世代の多くは、「厳しさ=愛情」「理不尽に耐えることが成長」という価値観のなかで育ってきました。それは、その時代には確かに機能していた面もあります。

けれど、今の若い世代が育ってきた環境はまったく違います。理由を説明されて納得してから動くこと、頭ごなしに否定されないこと——それが当たり前の環境で育っています。どちらが正しい・間違っているという話ではなく、「当たり前」の中身が、世代によってまるで違うのです。この前提のズレに気づかないまま「最近の若い子は」と言ってしまうと、溝はどんどん深まっていきます。

「怒鳴る」「精神論」が届かなくなった理由

かつては、怒鳴られることで「ここは重要なんだ」と伝わった時代がありました。けれど今、強い言葉や精神論は、内容が伝わる前に相手の心を閉じさせてしまいます。「怖い」が先に立って、肝心の中身が届かない。結果として、指導したいことがいちばん伝わらない——という皮肉なことが起きているのです。

これは上司の力量の問題ではありません。「効く伝え方」そのものが、時代とともに変わったということ。だとすれば、私たちも伝え方をアップデートすればいいだけの話です。

研修で大切にしていること

私のハラスメント研修は、「これはダメ、あれもダメ」と禁止事項を並べる座学ではありません。それをやると、ベテラン世代ほど「じゃあもう何も言えない」と萎縮してしまい、かえって現場が動かなくなるからです。

「責めない」ことを何より大切にします。 ベテラン上司の方々が積み重ねてきた経験や、部下を育てたいという想いそのものは、決して否定しません。そのうえで、「その想いを、今の時代にちゃんと”届く形”にするには?」を一緒に考えます。

具体的な場面で考えます。 「こういうとき、つい怒鳴ってしまう」——そんな現場のリアルな場面を持ち寄って、では同じことを相手に届く形で伝えるにはどう言えばいいか、グループで一緒に言葉にしていきます。抽象的なルールではなく、明日から使える伝え方として持ち帰っていただきます。

世代の違いを”翻訳”します。 上司世代の「当たり前」と、若手世代の「当たり前」。その両方を通訳するように解きほぐすことで、「なるほど、そういうことだったのか」という気づきが生まれます。この気づきが、指導とハラスメントの線引きを、自分の中に持てるようにしてくれます。

医療と福祉の現場を見てきたからこそ

私は社会保険労務士であると同時に、社会福祉士、国家資格キャリアコンサルタントの資格を持ち、約11年間、医療ソーシャルワーカーとして病院の現場に立ってきました。

医療・福祉の現場は、まさに多世代・多職種が入り混じる場所です。ベテランと若手、職種の違う者同士が、日々ぶつかりながら働いている。そのなかで私は、「良かれと思って」のすれ違いが人を傷つけ、職場を疲弊させていく場面を、数えきれないほど見てきました。

だからこそ、ハラスメントを「取り締まる」のではなく、世代や立場の違いを”翻訳”して、お互いが歩み寄れる場をつくる——それが私の研修の軸になっています。人を責めるのではなく、人と人のあいだをつなぐ。そのための研修です。

まずは、お話を聴かせてください

研修の内容は、企業・団体ごとの状況に合わせてお作りします。「管理職世代の意識をアップデートしたい」「指導とハラスメントの線引きを現場に持たせたい」——今抱えておられる課題を、まずはじっくりお聞かせください。

企画やお見積りの作成は無料で承っております。オンラインでの実施や、管理職層のみを対象とした少人数開催にも対応しています。「うちの場合はどうすれば?」という段階のご相談でも、どうぞお気軽にお声がけください。

札幌を拠点に、北海道内から全国まで、皆さまの職場に伺います。「良かれと思って」が空回りしない、世代を越えて伝わる職場づくりを、一緒に始めましょう。

Office You Key 社会保険労務士事務所

代表 斉藤梨絵(社会保険労務士・社会福祉士・国家資格キャリアコンサルタント)