「夜勤のある職場で、子育て中の職員にどんな働き方を用意すれば?」。2025年10月から、3歳から小学校入学前の子を育てる職員への「柔軟な働き方」の措置と意向確認は事業主の義務です。医療ソーシャルワーカー歴11年、社会福祉士・キャリアコンサルタントでもある札幌の社会保険労務士が、医療・介護現場での措置の選び方を解説します。

「テレワークなんて、うちの病棟では無理」「制度は作ったけれど、本当に使える形になっているか自信がない」。そんなふうに感じていませんか。改正育児・介護休業法の「柔軟な働き方を実現するための措置」は、2025年10月1日に始まり、1年がたちました。今日は、夜勤やシフトのある医療・介護の現場で、この措置をどう選び、どう職員に伝えるかをお話しします。

2025年10月から、すでに事業主の義務です

対象は、3歳から小学校入学前の子を育てる職員です。事業主は次の5つのうち2つ以上を用意し、職員はその中から1つを選んで使えます。

  • 始業・終業時刻の変更(フレックスタイム制、時差出勤など)
  • テレワーク等(月10日以上)
  • 保育施設の設置運営等(ベビーシッターの手配や費用の負担など)
  • 養育両立支援休暇(年10日以上)
  • 短時間勤務(1日原則6時間を含むもの)

テレワーク等と養育両立支援休暇は、原則として時間単位で使えるようにする必要があります。また、どの措置を選ぶかを決めるときは、過半数労働組合(ない場合は過半数代表者)から意見を聴く機会を設けることになっています。

なお、日々雇い入れられる職員は対象外です。また、労使協定を結べば、勤続1年未満の職員や、週の所定労働日数が2日以下の職員を対象から除くこともできます。

夜勤・シフトのある現場では、どの措置を選ぶか

厚生労働省のQ&Aでは、シフト制を含む交替制勤務の職員も対象とされ、現場で参考になる考え方が示されています。

  • 希望した人に「早番だけ」の勤務を認めるしくみは、「始業時刻等の変更」にあたる
  • もともと早番・遅番で時刻が日ごとに違うことは、それだけでは措置にあたらない
  • 職種や配置から、使えないと前もって分かっている措置では、義務を果たしたことにならない
  • 職種ごとに措置の組み合わせを変えることは差し支えない

たとえば看護・介護職には「早番固定などの時刻の変更」と「養育両立支援休暇」、事務職には「テレワーク」と「短時間勤務」というように、職種ごとに実際に使える組み合わせを考えることができます。

3歳になる前の「個別の周知・意向確認」と「意向の聴取・配慮」

用意した措置は、子が3歳になる前の決まった時期(1歳11か月になる日の翌々日から2歳11か月になる日の翌日まで)に、職員一人ひとりに知らせ、使う意向を確かめます。方法は面談(オンライン可)や書面などで、利用を控えさせるような伝え方は認められていません。

また、妊娠・出産の申出があったときと、同じく3歳になる前の時期には、勤務時間帯や勤務地、業務量など両立についての意向を個別に聴き、職場の状況に応じて配慮することも求められています。

「働き方」の話は「これからのキャリア」の話

キャリアコンサルタントとして、子育て中の看護師さんのお話を伺うと、「看護師の仕事は好き。でも、子どもがインフルエンザなどで休むたびに、忙しい職場に申し訳なくて……。いっそ在宅でできる仕事に転職しようかと考えている」という声をよく耳にします。仕事が好きなのに、申し訳なさから離れることを考えてしまう。とても残念なことだと感じています。

だからこそ、この面談は「どの制度を使いますか」を聞くだけで終えるのは少しもったいない場です。夜勤にいつ戻りたいか、資格取得やリーダーの役割をどう考えているかなど、数年先の働き方も一緒に話せると、職員は「この職場で続けていける」と感じやすくなります。施行から1年。就業規則や面談の流れを見直し、現場で本当に使える制度に育てていきましょう。

制度のくわしい内容は、厚生労働省の柔軟な働き方を実現するための措置(育児休業制度特設サイト)で確認できます。

札幌市で育児・介護休業法への対応のご相談はOffice You Key 社会保険労務士事務所へ

「夜勤のある職場で、どの措置を選べばよいか一緒に考えてほしい」「就業規則や個別面談の流れを整えたい」という札幌市・北海道の医療機関、介護・福祉施設、企業の皆様へ。Office You Keyでは、医療ソーシャルワーカー歴11年の社会保険労務士が、制度の整備から、面談を担う管理職向けの研修まで一貫してお手伝いします。企画・お見積りは無料で承っております。まずはお気軽にご相談ください。