「ベテラン職員が最近つらそう。でも体調のことは聞きにくい」。言い出しにくい更年期の不調に、職場ができる配慮と年休・社内制度の使い方をまとめました。医療ソーシャルワーカー歴11年、社会福祉士・キャリアコンサルタントでもある札幌の社会保険労務士が、更年期の職員への配慮を解説します。

「頼りにしているベテランの職員が、最近なんだかつらそう。でも、体調のことをどこまで聞いていいのか分からない」。そんなふうに迷っていませんか。10月18日は、更年期の健康に関わる情報を世界に届ける日「世界メノポーズデー」です。今日は、更年期の不調を抱える職員が働き続けられる職場づくりと、制度の使い方をお話しします。

更年期の不調は、めずらしいことではありません

厚生労働省の「働く女性の心とからだの応援サイト」によると、閉経の前後約5年ずつ、10年くらいを更年期といい、一般的には45〜55歳頃とされています。疲れやすさ、肩こり、発汗、冷え、イライラ、眠りの浅さなど、出方は人によってさまざまで、程度の個人差も大きいといわれています。

厚生労働省が2022年に公表した調査では、更年期障害の可能性があると考えている女性は、40歳代で28.3%、50歳代で38.3%でした。一方で、更年期の症状がある女性のうち、医療機関を受診していない人は40歳代で81.7%、50歳代で78.9%にのぼります。多くの人が、不調を抱えながら働いている様子がうかがえます。

40代・50代の女性職員が現場の中心を担っている医療・介護の職場も多いのではないでしょうか。だからこそ、職場全体で知っておきたいテーマです。

言い出しにくさをほどく、職場の工夫

厚生労働省のサイトでは、更年期の基本的な情報を職場で共有し、周りがこの世代に体調不良があることを理解することが大切だとされています。そのうえで、次のような工夫をすると、職員はぐっと相談しやすくなります。

  • 「更年期ですか?」と決めつけて聞かず、「最近どう?困っていることはない?」と声をかける
  • 休みや勤務の調整を、理由を細かく言わなくても申し出やすい仕組みにする
  • 上司以外にも、相談できる先を用意しておく

体調や健康の情報は、とくにプライバシーへの配慮が求められます。本人が話したい範囲で聴き、本人の了承なく周りに伝えないことを、管理職の間で確認しておきましょう。

不調を一人で抱え込む人のそばで

職場で、「いつもと、どこか雰囲気が違う……」「最近、少し休みがちかな……」と感じることはありませんか。ご本人は「更年期は誰もが通る道だから」と、なかなか言い出せずにいるのかもしれません。管理職の皆さんには、そうした小さな変化に気づいたら、ぜひそっと声をかけてみてほしいと思います。

ご自身にも似た経験がある方なら、「私も同じような時期があってね。当時は誰にも言えなかったんだけど……。つらいときは、話せる範囲でいいから話してね」と伝えてみるのはいかがでしょうか。経験を分かち合ってくれる人がそばにいるだけで、「一人じゃない」と感じられるはずです。

使える制度は「法律で決まっているもの」と「職場で決めるもの」に分けて考える

まず、法律で決まっているものです。年次有給休暇は、職員が自分のために使える権利です。また、労使協定を結べば、年5日の範囲で時間単位の年休を取れるようにできます。時間単位年休を導入するかどうかは職場の判断ですが、通院や体調の波に合わせて使いやすい仕組みです。常時50人以上の労働者がいる事業場には産業医を選任する義務があり、産業医に相談する機会をつくることもできます。

次に、職場で決める工夫です。厚生労働省のサイトでは、不調のときの休養や通院などに使える休暇制度、時差出勤や短時間勤務、横になれる休憩スペースや室温の調整などが、企業の取組例として紹介されています。これらは義務ではなく、それぞれの職場で選んで整えていくものです。また、各都道府県の産業保健総合支援センターでは、保健師が職場の女性の健康に関する相談に応じています。

なお、2025年6月11日には、女性活躍推進法の基本原則に「女性の健康上の特性」への配慮が明確に書き込まれました。職場での女性の健康支援は、これからますます大切になっていきます。

キャリアをあきらめなくてよい職場に

体調がつらい時期に、「迷惑をかけるくらいなら辞めよう」「リーダーは降りよう」と考える人もいるかもしれません。夜勤の回数や担当を一時的に調整するときは、本人とよく話し合い、「いつ見直すか」も一緒に決めておくと安心です。調整が一人に偏らないよう、チームでシフトを考えることも大切です。経験を積んだ職員が働き続けられることは、職場全体の力になります。

更年期の症状や職場でできる配慮は、厚生労働省の働く女性の心とからだの応援サイト「更年期症状」でも紹介されています。

札幌市で女性職員の健康と働き方のご相談はOffice You Key 社会保険労務士事務所へ

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